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かんてい日記

相乗は万能か?

2021-04-18
カテゴリ:不動産評価(専門)
注目
鑑定実務では、標準的画地の土地価格から対象不動産の土地価格を導くときに、個別格差を検討する。
このとき、各要因格差を「相乗する」(相互に掛け合わせる)ことが一般的とされている。
例えば、標準的画地の価格が100,000円/㎡で、対象不動産は日照通風が劣り(-5%と判断)、形も悪い(-20%と判断)ときは、対象不動産の価格は100,000円/㎡×0.95×0.8=100,000円/㎡×0.76=76,000円/㎡と査定される。
直観的には、日照通風で-5%で形状-20%なので、合計-25%、よって100,000円/㎡×0.75=75,000円/㎡としてもよいように思われるが、実務的には上記のように76,000円/㎡と査定することが一般的である。
その理由は、各要因は相互に関連しているから相互に掛け合わせるのだと説明され、そう言われればそのような気もする。
しかし、次のようなケースはどうだろう。
万全な宅地であれば総額1,000万円だが、水道の引込で50万円(1,000万円に対して-5%)、宅地に仕上げる造成費で200万円(1,000万円に対して-20%)が必要な土地があるとする。
上記の原則に沿って計算すると、対象不動産の価格は、1,000万円×0.95×0.8=1,000万円×0.76=760万円となるが、これはさすがにおかしい。
常識的には、1,000万円-50万円-200万円=750万円が答えであるべきだろう。
このケースのように、個別的要因の中に、「費用=額」で把握できる複数の要因が含まれる場合には、相乗計算は不適切で、むしろ加減計算を行った方が妥当な結論になることが多い。
実務上はこのようなケースにかなり多く遭遇する。
十分に注意する必要がある。
有限会社栄鑑定評価
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